(「ロンギヌスの槍を月に刺すプロジェクト」公式HP より)
ロンギヌスの槍を月面に刺すプロジェクト
2015年1月30日に発表された「エヴァンゲリオン20周年記念企画」の内容が発表されました。
今回明らかになったのは、チタン合金製のミニチュア・ロンギヌスの槍を実際に月面に刺すことだと判明しました。
時に、西暦2015年。ついにプロジェクトが始動する。
20年の歳月を経て、ロンギヌスの槍を月に刺す。1995年のTVシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』第弐十弐話。使徒殲滅のため、エヴァ零号機によって投げられたロンギヌスの槍は、地球を大きく飛び出し目標を貫き、やがて遥か月へと到達した。劇中年と同じ西暦2015年を迎えた今、20年前のあの頃エヴァンゲリオンに衝撃を受けた僕たちの手によって、あの名シーンが現実のものとなる。ロケット打ち上げ総費用は約1億円。「HAKUTO(ハクト)」という日本唯一の民間月面探査プロジェクトを手掛けるチームの協力のもと、宇宙に想いを馳せる人類の英知を結集し、常識を超えたかつてないスケールのプロジェクトが幕を開ける。
引用:「ロンギヌスの槍を月に刺すプロジェクト」 公式トップページより
長さ240mm、重さ30gのチタン合金製で製作されたロンギヌスの槍は、日本唯一の民間月面探査プロジェクトを手掛けるチーム「HAKUTO(ハクト)」の協力の下、ロケットと月着陸船を用いて月面まで運ぶ予定だそうです。
庵野監督のメッセージ
今回のプロジェクトについて庵野秀明総監督は以下のようなメッセージを出しております。
“空想、妄想の世界を描いたアニメ作品の表現が、現実の世界で本気の遊び、エンターテイメントとして再現される計画に、驚きと喜びと感慨と深い感謝を覚えます。成功を祈ります。”
原作・総監督 庵野秀明引用:「ロンギヌスの槍を月に刺すプロジェクト」 スペシャルページより
庵野監督としても、まさかアニメでやったことがここまでスケールの大きなことになるとは想像していなかったのではないでしょうか。
クラウドファンディングについてのおさらい
今回の壮大すぎるスケールのプロジェクトに設定された費用は約1億円。この資金を調達するために今回はクラウドファンディングが利用されるとのことです。
いまだ一般に馴染みがあるとはいえないクラウドファンディングですが、ここで簡単にクラウドファンディングを紹介したいと思います。
自分で実現したいプロジェクトがあった場合に、必要な金額と募集期間を設定してそのプロジェクトに賛同する不特定多数の個人から資金を調達、期間中に目標額が達成されれば実際にプロジェクトが実現するというものです。
今回の「ロンギヌスの槍を月に刺す」プロジェクトで設定された期間は本日1月30日~2015年4月5日までなので、およそ2ヶ月間で1億円を集めることになります。
資金を募る側(実行者)はクラウドファンディングを主催するサイトに自分のプロジェクトを掲載しますが、大抵の場合無料で掲載できるため安価に資金集めをスタートすることができます。
逆に資金を提供する側(支援者)に対してはプロジェクト成立時に見返りとして、通常はプロジェクトにちなんだなんらかのお礼があるので、単に資金を提供するだけではない満足感が得られるのが人気の理由のようです。
ちなみに提供した資金によりそのお礼が異なる場合が多く、今回のエヴァプロジェクトでも5,000円~10,000,000円までの13種類が設定されております。
エヴァ関連であれば過去にクラウドファンディングによって「エヴァンゲリオンレーシング」の個人スポンサーが募集されたことがありました。
またエヴァンゲリオンにスタッフとして参加している今石洋之氏や吉成曜氏が所属しているTRIGGER制作の劇場第1弾作品『リトルウィッチアカデミア』の続編も、クラウドファンディングで資金調達されました(目標額15万ドルを5時間で達成し、最終的に62万5518ドルの資金を調達)。
- Kickstarterで大成功を収めた「リトルウィッチアカデミア2」に見る魅力的なリワードとは? (Anipipopより)
ではプロジェクトが不成立だった場合はどうなるのでしょうか?
今回のプロジェクトに使用されるクラウドファンディングサイト『READYFOR?』の場合で言えば、プロジェクト参加時(資金提供時)は”予約”の状態であり、目標達成された時に初めて支払い決済が実行され、目標金額に到達しなかった場合には自動的にキャンセルされるとのことなので支援者は安心してプロジェクトに参加できます。
このように実行者・支援者ともにリスクが低いことからクラウドファンディングは現在、日本でも様々なプロジェクトを実現させる手段として少しずつ認知されている制度です。
今回のクラウドファンディングで設定されている1億円ですが、この費用は約600~700gになるロンギヌスの槍およびその放出機構を月面に運ぶための費用としてほぼ全額使用されるとのことです。
なぜ月面に”ロンギヌスの槍”なのか?
ところで「ロンギヌスの槍」とはTVアニメ版『新世紀エヴァンゲリオン』に登場した重要なキーアイテムの一つですが、そもそも巨額の費用を投じてなぜ”ロンギヌスの槍”を月面に刺そうとしているのでしょうか?
このサイトをご覧の方には説明不要だとは思いますが、これはTVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の第弐十弐話において、宇宙空間にいる使徒を倒すためにエヴァによって投げられたロンギヌスの槍が、敵を倒した後にそのまま月(の周回軌道)まで到達したことを元にしているためです。
(『新世紀エヴァンゲリオン』 第弐十弐話「せめて、人間らしく」 より)
ちなみに一部ネット上ではロンギヌスの槍は月の周回軌道に乗っただけで、そもそも月面に刺さっていないのでは?と言われておりますが、旧劇場版『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』において、ロンギヌスの槍が宇宙からエヴァ初号機めがけて飛んでくるシーンの直前で月面に刺さったロンギヌスの槍が確認できます。
(『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』 第26話 より)
エヴァンゲリオンの舞台である2015年にこのシーンを再現しようというのが、今回の「ロンギヌスの槍を月に刺す」プロジェクトというわけです。
1億円もの資金は集まるのか?
今回設定された1億円という資金ですが、『READYFOR?』では7割以上のプロジェクトが目標金額を集めているということなので(参考:クラウドファンディング「READYFOR」とは?)一見達成できるかもと思うのですが、個人的にはかなり厳しいと思います。
『READYFOR?』は日本初のクラウドファンディングサイトとして2011年よりスタートしており、これまで1,600ものプロジェクトを通じて8.4億円の資金を集めたということですが、今回のエヴァプロジェクトだけでこの8分の1を達成しなくてはならないということになります。
加えて今回のプロジェクト発表後のネットを見てみると「大金を掛けて宇宙にゴミを捨てるだけ」と、かなり冷ややかな反応が目立ちました。
- エヴァファンも加藤夏希も落胆? ロンギヌスの槍を月に刺す「意味ないじゃん!」とブーイング殺到 (livedoor NEWS)
個人的には第一印象は面白い企画だなーと感じたので、このネットの反応はかなり意外な印象を受けました。
発表直後から色々話題になっている今回のプロジェクトですが、こうした反応を見てみると目標達成は厳しいかもしれません。
個人的にはぜひ実現してほしい
個人的には今回のプロジェクトは応援していますし、実際この後支援しようと思っています。
なお現在の達成状況ですが、支援者196人で金額は4,775,000円とそれなりに支援者が集まっているようです。
(「ロンギヌスの槍を月に刺すプロジェクト」公式HP より)
果たして目標達成なるのか、プロジェクト最終日である4月5日が楽しみです。
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参考HP
- ロンギヌスの槍を月に刺すプロジェクト 公式HP
- アニメ史上初「ロンギヌスの槍」を月面に!?「エヴァ」20周年企画始動、予算規模は1億円 (映画.com)
- マジで「ロンギヌスの槍を月に刺す」エヴァンゲリオン20周年公式企画が起動 (Gigazine)