先日、渋谷で行われた【「エヴァンゲリオンシリーズ映像商品全部解説します〜わかりづらくて誠に申し訳ございません2020〜」】に行ってきましたので、簡単にレポしたいと思います。
イベント概要
【「エヴァンゲリオンシリーズ映像商品全部解説します〜わかりづらくて誠に申し訳ございません2020〜」】は、2020年2月4日に東京・渋谷で開催されたエヴァのTVシリーズから新劇場版までの映像作品の商品化解説のイベントトークショーです。
いよいよ2020年6月27日に完結編『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の公開を控え、ますますの盛り上がりを見せている『エヴァンゲリオン』シリーズ。2020年は『新世紀エヴァンゲリオン』公開から25周年のアニバーサリーイヤーでもあります。そんな記念すべき2020年に、『エヴァンゲリオン』の映像商品をほぼすべて解説する前代未聞のエヴァ公式イベントを開催!美麗な映像をこだわりをもってDVD・Blu-ray化しているスタジオカラー作品について、映像商品から見る作品の魅力やこだわりを、商品制作メンバーからお話していただきます。
『新世紀エヴァンゲリオン』のビデオグラムから、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q EVANGELION:3.33 YOU CAN (NOT) REDO』まで、DEATHが (TRUE) 2で、1.01が1.11な理由やとにかくバージョンが多い!何を見れば何が観れるの!?などの解説や制作時のエピソードを語りまくってもらいます。
さらに、『新世紀エヴァンゲリオン Blu-ray BOX』にて、「収録分数が告知よりめっちゃ多かった案件」についての謝罪会見も!?なにがどうなるかわからないエヴァ公式トークショー!ぜひご参加ください。
EVA INFO 【渋谷カルカルにてエヴァ公式トークショー2月4日開催!「エヴァンゲリオンシリーズ映像商品全部解説します〜わかりづらくて誠に申し訳ございません2020〜」】より
これまで多くのエヴァ映像作品商品化に関ってきた株式会社カラーの海外展開戦略担当である島居理恵さんと、キングレコード株式会社の映像エディター田所さおりさんが、これまで発売されたTVシリーズから新劇場版までの映像作品(VHS・LD・DVD・Blu-rayなど)の商品化時の経緯や苦労話などを解説してくれるトークショーイベントです。作品の中身ではなく商品(VHS・LD・DVD・Blu-rayなどのソフト化)の話しをプロから聞く機会あまりないと思い、非常に楽しみにしておりました。
当日は19時30分開演、21時30分終了予定と、ちょっと遅めのイベントでした(そのおかげで平日でも参加できましたが)。途中、20時20分ごろには10分ほどの休憩がありました。
会場である東京カルチャーカルチャーはイベントハウス型飲食店ということで、イベント開催中もテーブルにあるベルで飲み物や食べ物が楽しめました。なお、料金は2,750円。参加賞として缶バッジが貰えました。
当日の様子
会場である東京都渋谷区にある東京カルチャーカルチャーに到着したのは18時30分ごろ。【渋谷の領域】に入ったのは、山下いくと先生のサイン会に参加した2019年4月以来、およそ10ヶ月ぶりでした。
https://evacollector.com/event-yamashitaikuto-sainkai-20190407/
渋谷駅含めて周辺は大規模開発工事による工事中のところが多く、東京カルチャーカルチャーの場所がよくわからなかったので、思っていた以上に時間がかかってしまいました。
ところが、会場に着いてからイベントがある4階への行き方がまたよくわからない。エスカレーターで上がっていくだけかと思っていたのですが2階で止まってしまうため、そこからどうやって上階に行くかわからない、エレベーターかと思って見ると途中で止まるところが多いなど、会場到着からイベント会場入口に到着するだけで10分もかかってしまいました。田舎者には中々ハードルの高い場所です。
なんとか入り口までたどり着くと、こちらは『シン・エヴァンゲリオン』のポスターや看板が出ていたのですぐにわかりました。
入り口には看板のほか、店内で食べられるメニューも貼りだされておりました。
入場券を見せて中に入ると、椅子とテーブルがたくさん並んでおります。
会場にはこれまで発売されたエヴァ関連映像作品が色々と展示されておりました。
席は自由席。今回私は一人だったので、入り口手前側に座りました。開演までは30分以上あったので、限定ドリンクやお店のカレーを注文。限定ドリンクは新劇場版のタイトルにちなんだ4種類がありました。
私はお酒が飲めないので、ノンアルコール設定があるのが嬉しい。なお、人気のためイベント途中ですべて売り切れてしまいました。
こちらは限定ドリンクの『破』。最初に頼んだので売り切れ前に楽しめました。
予定時刻になると島居さんと田所さんが登場。衣装の「逃げちゃだめだ」シャツが面白かったです。
トークショーでは関連作品が並べられた机に座って、後ろにあるプロジェクターでパワポを写しながら作品を解説していきます。なお、録画・録音がなければ撮影は自由でした(一部例外あり)。
最初にエヴァのTVシリーズ開始からVHSなど各種パッケージの発売、新劇場版公開やTV放送(2016年からのHDリマスター放送や2019年からの再放送など)についての年表が発表されました。小さすぎて文字が見えない、のはしょうがないです。
全体としてはVHSやLD、2003年発売のDVD-BOX、2015年のBlu-ray BOXなど、旧TV・劇場版についての解説にかなりの時間が使われ、後半では新劇場版の作品解説でした。
特にBlu-ray BOX発売は個人的にとても印象深いので、付録のブックレットの中身解説もあったのが嬉しかったですね。
https://evacollector.com/150825-eva-bluray-dvd-kingrecords-anime/
エヴァはTVシリーズなり劇場作品なり、作品公開当時に最良のものを発表するというスタンス。なので、例えばTV版総集編にあたる『DEATH&REBIRTH』の『DEATH』編だけ見ても、映像バージョンが『DEATH』(1997年劇場公開版)→『DEATH (TRUE)』(1998年WOWOWオンエア版)→『DEATH (TRUE)2』(1998年『REVIVAL OF EVANGELION』公開版)と変移していきます。
名称も似ているので、ファンでも混乱しそうなくらい非常に多くのバリエーションがありますから、それらを分けながら解説するとなるとかなり難易度が高いと思います。
トークショーでも“トゥルー”とか、“トゥルートゥルー”とか何度も言っていて、よく喋っている本人たちは混乱しないなと感心します。これを結構な早口で進めていくわけですから、壇上の方々のトークスキルと商品知識がいかに高いかわかりますね。
なお、補足として、カラー公式ツイッターの2号機さんの解説がすごく参考になります。これを見ながらトークショーを聴いてようやく理解できるくらい複雑なエヴァの映像作品解説でした。
#エヴァナイト2020
前提として制作はデジタル。
序1.0→上映版(フィルム)
序1.01→DVD商品。上映版フィルムを可能な限り再現してDVDデータにしたもの。
序1.11→DVD/BD商品。通常の作画・演出等のリテイク作業をしてデジタルで制作されたものをデジタルで収録したもの。(フィルム要素は無し)— (株)カラー 2号機 (@khara_inc2) February 4, 2020
ちなみに1997年3月公開の初代『DEATH&REBIRTH シト新生』は、2015年発売のBlu-ray BOXに収録するためオリジナルフィルムを探したがどこにもなく、摩砂雪監督に聞いたらWOWOW版の『DEATH (TRUE)』作るときにフィルムを刻んでしまったため現物がなかったらしいです。これにより摩砂雪監督が“フィルムを刻む男”呼ばわりされたのは笑ってしまいました。
『DEATH&REBIRTH』を商品化したい→フィルムがない!!!2年半くらい探す→摩砂雪さん「あるわけないじゃん〜(TRUE)作るのに使ったもん」→😭😭😭→当時配給の東映さんにも捜索協力を要請し岩手の映画館に1本だけフィルムが残っていた #エヴァナイト2020
— (株)カラー 2号機 (@khara_inc2) February 4, 2020
最終的に岩手の映画館に1本だけ残っていたらしく、無事にBlu-ray BOXに収録できたそうです。BOXへの作品収録を発表したあとでフィルムがどこにもなかったとのことですから、担当の島居さんは生きた心地がしなかったのではと思います。
また、トークショーでは実際にステージ上にある商品を手に取って解説もされました。下の写真は2003年のリニューアルプロジェクト時に発売されたDVD-BOX。パッケージを展開するのに凝ったデザインのため【工具箱】と呼ばれていました(BOXの展開の様が、まさに工具箱のようになっているため)。
DVD-BOXやBlu-ray BOX発売時のリマスター処理については、専門家の田所さんが解説。フィルムからテレシネ→ゴミ除去→カラー修正などリマスターの作業工程なんかの技術的な解説もあり、素人にはかなり難しい話しもありました。この辺りの用語も、少しツイッターで触れられておりますね。
#エヴァナイト2020
たぶん「定尺ていじゃく」がハテナ❓だったと思いますが映像に音楽や効果音を入れるには本編の総時間を確定させなくてはいけません。序なら101分。定尺を変える=タイミングが変わるという事なので、定尺しないと音が入れられないし定尺後にタイミング変えると音がズレます。— (株)カラー 2号機 (@khara_inc2) February 4, 2020
個人的に印象に残った話しとしては、2015年のリマスター版Blu-ray BOXとDVD-BOX発売後、購入者から「テレビの両サイドに黒帯が入る」とクレームを言われたことがあったそうです。4:3の映像を16:9で出せば当然、両サイドには黒帯が入るわけですが(でなければ『機動戦士ガンダムSEED』のリマスターみたいに上下をカットするが、比率を変えて横に引き伸ばすしかない)、アナログ放送が終了し、今や16:9の映像にしか触れたことが無い人も多いのでこういった話しがでたのかもしれません。
また、Blu-ray BOXの収録時間が本来1,068分なのに輸送箱シールには878分と記載されていたことが、発売後4年も経って気づいたなど失敗談もありました。実際にユーザーから指摘されたわけではなく社内的に気づいたらしいのですが、すでに発売後時間がかなり経っていたため対応策はとりようがないと決まったそうです。
失敗談についてはさらに、有名な2007年に発売された「DVD-BOX ’07 EDITION」に言及。この商品は赤いケースに収納されているのですが、なぜかこの赤の塗料が色落ちしてしまうのです。
指でこするだけでなく、持っているだけで洋服にもつくぐらい激しく色落ちするのですが、当然色々なところからクレームの嵐だったらしく、関係機関に頭を下げて回ったそうです。今持って色落ちの原因は不明とのことですが、この時はかなり大変だったとのことでした(このケースはのちに交換となり、使用される塗料が変更されたため、交換品のケースは色味が変わりました)。
ついでに、放送時には各テレビ局の基準に沿わなければいけない(例:ポケモンショック)ことや、映像を作る際には各自治体の基準により使用できない薬剤なんかもあるそうで、関東で作業できないのでわざわざ関西まで行って作業した、などという非常にディープな話題もありました。こういった裏話が聞けるのもトークショーの醍醐味ですね。
なお、昨今話題のガイナックスについては、トークショーの最初のほうで「報道の通りでございます」と言及されただけでした。デリケートな問題ですから、のちの質疑応答でもこれについて触れる人はいませんでしたね。
最後はファンサービスとして、開発中のゲームアプリと3月以降発売されるCDジャケットの製作途中の画像が公開されました(ここは撮影も禁止)。正式発表はまだのものでしたが、会場は大いに湧くことに。テンションが上がったところで21時30分ごろにトークショーは終了。まだまだ聞き足りないほど楽しい時間でした。
感想
島居理恵さんと田所さおりさんのトークが面白く、とにかく2時間があっという間に過ぎてしまった【全部解説します】トークショー。とくに島居さんはとても喋り慣れていて、複雑な商品解説を豊富な経験を交えながら面白おかしく話してくださいました。
エヴァは発売済みの映像作品がかなり多いのですが、さらに収録されたバリエーションも複雑ですから、「全部解説」とはいっても本当にすべて解説されるとは思っていなかったのですが、見事に最後まで解説されました。しかも、ここでは書ききれないほど細かく解説されましたから、ファンとしては行って良かったと本当に思います。当時の貴重な話しも多かったですし、このトークショーの内容はできれば何らかの形でソフト化してもらいたいですね。
最後のほうは島居さん、田所さんともにかなりお疲れのようでしたが、トークショー終了後のファンとの会話も楽しそうにされておりましたから本当に凄いです。
次回があれば、また参加してみたいです。ありがとうございました。
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